立命館大学 石水毅研究室

石水研通信

タキイ研究農場見学

 タキイ種苗の研究農場を見学させていただきました。キャンパスからほど近いところにあります。タキイ種苗は、交配実験を繰り返して、日本の食卓を支えるおいしい品種を数々開発してきた会社です。アブラナ科のF1ハイブリッドも、甘いトマト(桃太郎)も、千両ナス(とげのないナス)も、花屋さんで売られているひまわり(サンリッチ)も、すべてタキイが世界に先駆けて開発した品種です。展示用フィールドのみの見学(心臓部は見せてもらえなかった...当たり前ですが...)でした。それでも見応え十分で、交配実験で新しい品種を作り出す苦労話をいくつか聞くことができました。形質に関連したDNA研究もかなり進めておられるようで、効率的な交配実験のデザインの話は「さすが!」と思わせるものでした。畑で実際に植物と毎日接している方は、植物のことを本当によくご存知で、野菜のいろんな形質も教えてもらいました。ウチのように、タンパク質レベルの研究をしている研究室にとっては、研究のヒントとなる話もありました。

IMG_2010.JPGIMG_2013.JPG(左)カロテンたっぷりの甘いオレンジ色したミニトマト

(右)オクラ ウチの研究対象のラムノガラクツロナンIがたくさんある植物です


 石水はその昔、ニホンナシの自家不和合性の研究に携わっていたことがあります。形質と関連する遺伝子を同定して、現在では、鳥取県などで育種研究にも利用されています。その頃に強く思ったのは、「植物研究のネタはフィールドに落ちている」ということです。DNAやタンパク質の研究が中心の私たちですが、「植物のことを細かく知らなくて発見し損なってしまっていることも多いのでは」と今日の見学で改めて思いました。

 交配実験により5~10年かけてようやく一つの新品種を出せる根気のいる研究です。「9割9分はできないことを確認しているような研究」とおっしゃっていたのが印象的です。根気や体力が求められる、とのこと。ウチの研究も同じだなー、と思いながら、聞き入っていました。滋賀県南部は、タキイ種苗、立命館大学をはじめ、植物研究が盛んなところということを認識しました(他にもいくつか研究農場がありますし、龍谷大学農学部も誕生しますし...)。この地域から植物研究の新しい知見がどんどん発信されることを祈念して...。

 最後に、有本さん、吉田さん、竹田先生、いろいろとお世話してくださり、ありがとうございました。

 石水しるす