恩師の訃報、2018年の終わり、2019年の始まり
|石水より
2018年は、石水研開設時に設定した目標「植物N型糖鎖の分解経路の解明」「植物細胞壁ペクチン生合成酵素遺伝子の同定」を達成する論文をBiochemical Journal、Nature Plantsに出せて、良い1年でした。今まで石水研に在籍した学生のがんばりによるものです。携わった学生は確実に成長したし、研究室を開設した甲斐があります。今在籍している学生の2018年は、研究を順調に進めている人とそうでない人が混在している年でした。研究が進まないと心地よくならないし、研究室で学ぶべきことを学べません。2019年は石水研に在籍している全ての人が心地よくなるようにやっていこうと思います。これが2019年の一番の目標。
昨日、大学院生時代(1992〜1997年)に指導してくださった恩師、崎山文夫先生の訃報に接しました。ご冥福をお祈りします。1960年代から1990年代にかけて、タンパク質化学分野(タンパク質合成、化学修飾による酵素研究、タンパク質工学)で地道に研究を進められた先生で、酵素研究から植物生理学研究にも切り込まれた研究を展開されました。とても生真面目な先生でした。研究初心者の私は先生の博学さに圧倒されていました。その先生から大学院生時代にいくつかのクリティカルな指導があったことを思い出して、それが今のいろんなことの進め方に影響を与えていることを思い知りました。今になってご指導に改めて感謝しているところです。
訃報に接してポカンとしているうちに、いろんなことが思い出されて、2003年に、指導していた(とても頭の良い)学生に「先生が言うことは先生が思っているより影響が大きいんやで」と指摘されたことも思い出しました。その恩師に受けた言葉、その学生に指摘された言葉がフラッシュバックしました。言葉は大きい。
立命館の学生の考え方の多様性が大きく、指導がうまくいかなくて対応に悩むことがあって、2018年後半に私が落ち込んでることがありました。落ち込むと思考停止して仕事・研究は進まないし、ほんと良くありません。研究室は学生が育っていくところ。育つ歩みはそれぞれの学生次第。落ち込むことなく気分良く接していこう。全ての学生に穏やかに気分良く対応して、慎重に継続的に愛情持って、良い言葉で、受けた指導の恩を返していく人材育成を、そして研究成果発信をしていこう。一昨日には誕生日を迎えて、若くないことはちゃんと認識しているけれど、もう48歳。2018年には、その恩師の他に、大学院生時代にお世話になった方3名の方も2018年にお亡くなりになりました。時の経過の重みを感じているところです。そう長くはない残された時間を、いろんな方に指導していただいた恩を返していくためにも、一人一人の学生が育っていくように、良い研究成果を発信できるように、過ごしていく。そんなことを思っている年始です。石水。