立命館大学 石水毅研究室

石水研通信

【総説】植物細胞壁ペクチンの構造と機能

 「応用糖質科学」という学会誌に「植物細胞壁ペクチンの構造と機能」と題した総説を発表しました。石水と竹中さんの共著です。ここ20年ほどでペクチンの機能に関する知見が増えてきました。20年ほど前の「ペクチンは細胞壁を充填する酸性多糖である」という認識から「ペクチンは、細胞壁中で時空間制御を伴う動的な構造変化により、植物の伸長や形態形成、防御反応など広い範囲の植物生理に関わる多糖である」という認識に変わってきたことを解説しました。ペクチンの構造の複雑さの要因も一部明らかになってきていることも解説しました。ペクチンの構造と機能を網羅的に概観した初めての日本語総説です。先日、同じ「応用糖質科学」に「植物細胞壁ペクチン生合成機構解明の幕開け」と題した総説を発表したところですが、併せてぜひご覧ください。

 今回の「応用糖質科学」は、岐阜大学の矢部富雄先生によって企画された「あたり前に在るペクチンに秘められた複雑さ」と題したペクチン研究の特集号です(矢部先生、企画くださり、ありがとうございました!)。矢部先生の「ペクチン研究の現在」と題した緒言は、ペクチン研究者の心を躍らせる秀逸なもので、ペクチン研究の歴史と重要性を教えてくれます。阪本先生の「ペクチンの構造と微生物由来分解酵素」、北口先生の「ペクチン摂取による生理機能制御と疾病予防効果」という他のまとまりのある総説も併せてみることで、ペクチン研究の現在地が掴めます。全部まとめて読んでみてください!

「応用糖質科学」という雑誌のコンテンツは、学会員以外の人もアクセスできるようにしている最中で、現在はアクセスしにくい状況です。この総説をご覧になりたい方は石水に直接ご相談ください。要旨にあたる部分だけ下に貼っておきます。

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