立命館大学 石水毅研究室

石水研通信

【総説】植物細胞壁ペクチン生合成機構解明への幕開け

 「応用糖質科学」という学会誌に「植物細胞壁ペクチン生合成機構解明への幕開け」と題した植物細胞壁ペクチンの生合成に関する総説を掲載してもらいました。竹中と石水の共著です。植物でペクチンがどのように合成されるか、という研究に関しては、石水研も世界的に貢献しています。石水研独自の方法論をとっているためで、それを中心に紹介しました。その方法論とは「逆生化学」的手法です。「逆生化学」という言葉は辞書等に載っておらず、一瞬ギョッとしますが、「逆遺伝学」にもじっています。酵素遺伝子の同定は通常、酵素タンパク質を精製して、そのアミノ酸配列を求め、そのアミノ酸配列をコードする遺伝子を同定するという(順)生化学的手法が一般的です。しかし、ペクチン生合成酵素は、植物での発現量が少なすぎて、この従来の(順)生化学的手法を適用できないため、研究が進展していませんでした。ここ5年くらいで、次世代シークエンサーを活用して、植物の発現遺伝子の情報について、知ることのできる情報量が莫大になってきていて、ペクチン生合成に関わる場面の遺伝子発現変動を包括的に解析することができるようになってきました。そこに目をつけました。ペクチン生合成に関わる酵素の遺伝子と予想できたものについて、リコンビナントタンパク質を作って、そこから酵素活性を検出することで、酵素遺伝子の同定に至る、従来の方法とは逆の「逆生化学的」手法でペクチン生合成酵素の同定に至ったことの解説です。ただ、この方法論は簡単ではなく、データベースから候補遺伝子を絞る技術・糖転移酵素のリコンビナントタンパク質を作る技術・糖転移酵素活性を測定する技術が必要で、他の研究室にはなかなか真似できないので、世界の名だたる大学にも負けず、立命館大学から成果を発信できています。石水研に配属される4年生に携わる研究をわかってもらうためにも執筆しました。ぜひご覧ください。

 といっても、「応用糖質科学」という雑誌、学会員にしか見れなくなっているようです。学会員以外の人が見ようとすればどうすればいいんだろ?知っている人がいらっしゃいましたらご教示ください!要旨さえ見れないようなので、要旨の部分だけ貼ってみます(問題があるようでしたらすぐに削除します)。

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