立命館大学 石水毅研究室

石水研通信

白木賢太郎先生セミナー

 12月13日、生物資源研究センター「若手エンカレッジセミナー」の中で、大学院生時代の同門、筑波大学の白木賢太郎先生に「相分離生物学」と題したセミナーを担当していただきました。タンパク質の天然変性領域のような構造を明確に持たない部分は、実は細胞内で特定のタンパク質を集合させて、液-液相分離したタンパク質の液滴(ドロプレット)を形成して、それが機能的に働いているといいます。10の酵素による解糖系、遺伝子の発現とシグナル伝達、ノンコーディングRNAのはたらき、Rubiscoを例とする細胞内での酵素反応場の構築、タンパク質凝集の積極的役割、アクティブマター、いろんな生命現象が説明できてしまう可能性を秘めていて、世界で注目されている「相分離生物学」を学部生程度の知識で理解できるようにわかりやすく説明してもらいました。ウチの研究室で進めている植物細胞壁ペクチンの生合成は30くらいの酵素が一気に関わらないといけない生命現象ですが、この過程にもタンパク質ドロプレットが関わっているような直感があります。

 この類の立命館でのセミナーとしては最大級の聴衆(84人の出席者)で、質問も多くありました。恒例のセミナー後の懇親会では、昔とあまり変わらないアホっぽいお話がいろいろできて、それは楽しい時間でした。

 白木さんの名著、2019年度の生命科学分野のベストセラー「相分離生物学」を引っさげての、ワクワク感満載のお話でした。石水はこの教科書の読後のワクワク感が抑えられず、書評させてもらいました。未読の方はぜひ手にとって読んでみてください。間違いなくおもしろいです。ある学生は、セミナー後、生協で即買いしていました。

 白木さん、セミナーのお世話してくれた太田さんはじめリサーチオフィスの皆様方、関係者のみなさま、お世話になり、ありがとうございました!

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