立命館大学 石水毅研究室

石水研通信

【研究成果】ペクチンRG-Iガラクトース転移酵素の活性検出

Matsumoto, N., Takenaka, Y., Wachananawat, B., Kajiura, H., Imai, T., and Ishimizu, T. Rhamnogalacturonan I galactosyltransferase: Detection of enzyme activity and its hyperactivation. Plant Physiol. Biochem. 142, 173-178 (2019)

 植物細胞壁のペクチンにラムノガラクツロナンI(RG-I)という成分があります。この成分は、近年は漢方薬の有効成分として同定され、ヒトの免疫システムを活性化することが見出されています。そして、植物細胞の力学的性質を制御する因子ではないか、として注目され始めている成分です。このRG-Iの生合成には主に6種類の糖転移酵素が必要ですが、昨年のRG-Iラムノース転移酵素の遺伝子発見など、解析が進んできています。今回、RG-I生合成に関わるガラクトース転移酵素の活性を検出し、その特性を明らかにしました。

 この研究は2013年4月から石水研で始まった研究で、2017年修士修了のまつなおくんが主に貢献しました。竹中さん、Mintが仕上げのデータを出しました。京大の今井先生には質量分析でお世話になりました。まつなおくんは、勝手にいろいろと試すことが好きで、その中で、このRG-Iガラクトース転移酵素を超活性化する添加剤を見つけました。これが契機となり、この酵素の解析が進みました。このまつなおくんの機転が成果につながりました。

 これまでに活性が検出されたことがない、初めて見出された酵素なので、酵素番号(EC番号)を申請しています。3つ目の石水研で発見した酵素になります。この酵素の活性が検出できたので、この酵素をコードする遺伝子を探索中です。

 石水研に在籍の大学院生には、このような感じで、世界に発信できる研究成果を修士課程の間に出すことを目標にしてやって欲しく思います。

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